栄養のはなし
もくじ植物はなにでできている?
植物の体は、様々な物質から成り立っています(下図参照)。
植物体の構成成分の多くを占める炭素・酸素・水素といった元素は、主に“二酸化炭素”と“水”として植物に吸収されています。
それ以外の元素である“窒素”や“灰分”(40種類ほどの元素)は、根から水とともに吸収されます。
人間が栄養失調になるように、必要な元素が不足すると、植物にも様々な障害が発生します。
不足している元素を肥料で補ってやることで、そうした障害を取除き、植物の生育を助けてやることができます。
植物の必須元素
植物の生育に必要な元素のうち、特に重要だと考えられているものは「必須元素」と呼ばれ、現在のところ16あります。
【植物の必須16元素】
窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、酸素(O)、水素(H)、炭素(C)、カルシウム(Ca)、
マグネシウム(Mg)、硫黄(S)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、
モリブデン(Mo)、銅(Cu)、塩素(Cl)
植物の種類や生育段階、気象条件などで、植物にとって必要な元素の種類や量は異なってきます。
主に二酸化炭素と水として吸収されている炭素・酸素・水素以外の元素は、植物が必要とするだいたいの量によって
“大量要素・中量要素・微量要素”に分けられます。
大量要素である窒素・リン・カリウムは肥料としてよく利用される元素であり、肥料の3要素といわれています。
微量要素は、植物の様々な生命活動に利用されますが、多量に供給されると植物の生育を害する恐れがあるため、
やりすぎないように注意しましょう。
大量要素 |
1000uあたり 5kg以上吸収されるもの |
窒素・カリウム・リン・(カルシウム・ケイ素) |
---|---|---|
中量要素 |
1000uあたり 2kg前後吸収されるもの |
カルシウム・マグネシウム・硫黄 |
微量要素 |
1000uあたり 100g以下しか吸収されないもの |
鉄・マンガン・ホウ素・銅・亜鉛・モリブデン・塩素 |
※カルシウムは、マメ科植物においては窒素・カリウムと同じくらいの量が必要になり、大量要素に分類されます。 一方、他の植物ではマグネシウムや硫黄と同じくらいしか含まれず、中量要素に分類されます。 また、イネに含まれるケイ素は窒素やカリウムの10倍にもおよびますが、他の植物では極めて微量にしか含まれません。
それぞれの元素のはたらき(炭素・酸素・水素を除く)
元素 | はたらき・注意点など |
---|---|
N 窒素 |
|
P リン |
|
K カリウム |
|
Ca カルシウム |
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Mg マグネシウム |
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S 硫黄 |
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Fe 鉄 |
|
Mn マンガン |
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B ホウ素 |
|
Zn 亜鉛 |
|
Mo モリブデン |
|
Cu 銅 |
|
Cl 塩素 |
|
Si ケイ素 |
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- 「土と微生物と肥料のはたらき」(2001)農山漁村文化協会
- 「改訂 やさしい植物病理学 複雑な微生物・植物社会の裏表」(1996)日本緑地環境研究会
- 「樹木医学」(1999)朝倉書店